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Magazine / Blog店舗の居抜き物件の内装|引渡し確認・造作譲渡・引き継ぐ判断のポイント
店舗の居抜き物件は、前の店の内装や設備を引き継げるため、開業までの工程を短くできる可能性があります。一方で、引き継いだ設備の状態、契約の関係、行政への事前確認など、スケルトンから作る場合にはない確認事項があります。
この記事では、居抜き物件の内装を考えるときの順序を、契約、現地確認、行政への確認、設計の判断に分けて整理します。サロンやクリニックなど、保健所の確認が必要な業態を想定した注意点も含めます。
この記事でわかること

居抜きとスケルトンの違い
居抜きは、前のテナントが使っていた内装、設備、什器が残った状態で物件を借りる形です。スケルトンは、内装や設備が撤去され、躯体(床・壁・天井の構造)だけが見える状態を指します。
スケルトン物件では、引渡し時に躯体のみの状態かを確認し、残置物があれば貸主に撤去を依頼します。契約内容によりますが、撤去の手配と費用は基本的に貸主の負担とされています。
居抜き物件は、残っているものを使えるかどうかが論点です。使えれば工事の範囲が小さくなる可能性がありますが、使えない部分を撤去する費用や、設備の不具合に対応する費用が必要になることもあります。
| 項目 | 居抜き | スケルトン |
| 引渡しの状態 | 内装・設備が残る | 躯体のみ |
| 確認の中心 | 残る設備の状態と契約 | 給排水・電気の引込み位置 |
| 設計の自由度 | 既存の制約を受ける | 高い |
どちらが向いているかは、業態と、残っている設備の中身で変わります。
引渡し時に確認したいこと
居抜き物件の引渡しでは、造作、設備機器、什器備品が契約書どおりそろっているかを確認します。内見時に見ていても、設備の動作確認は改めて行います。
また、水道(給排水)、電気、ガスが使えるかも確かめます。空き店舗の期間が長いと排水管の詰まりが起きることがあり、その場合の費用は貸主との交渉が必要です。
確認の記録も大切です。退去時に備え、原状回復の状態を貸主と事前に認識をそろえ、引渡し時の状態は写真やメモで残しておきます。
確認の順序
1. 契約書にある造作・設備の一覧と、現物を突き合わせる
2. 給排水、電気、ガス、空調、換気を、実際に動かして確かめる
3. 傷みや不具合を、写真と日付つきのメモで残す
4. 不具合があれば、貸主や仲介会社へすぐ連絡する
設備の中でも、給排水と空調、換気は、後から動かすと工事が大きくなります。引き継げるかどうかの判断では、まずこの3つを見ます。

造作譲渡契約と原状回復の考え方
居抜きでは、貸主との賃貸借契約とは別に、前のテナントから設備を引き継ぐための造作譲渡契約を結びます。造作譲渡契約は賃貸借契約とは別の独立した契約で、対象は厨房設備、空調・排気設備、通信機器、内装、什器などです。
貸主の承諾
原状回復が原則のため、造作譲渡には物件オーナーの承諾が必要で、承諾は口頭ではなく書面で取得します。
原状回復義務の引継ぎ
造作譲渡契約を結ぶと、原状回復義務は基本的に新しい借主に引き継がれます。新テナントは設備を流用できる一方で、将来の原状回復義務を負います。 将来退去するときの費用を、最初の段階から見込んでおく必要があります。
故障と修繕費
故障している造作物の有無や修繕費用の負担も、契約書に明記します。
契約の文言は専門的な内容を含むため、不動産会社や専門家にも確認してもらいます。
行政への事前確認で見落としやすいこと
居抜きで特に注意したいのは、前のテナントが営業していたから、自分も同じ営業ができるとは限らない点です。
全日本不動産協会の解説では、居抜き譲渡を貸主が承諾しても、譲受人の営業が可能であることを貸主が保証したことにはならないとされています。 希望する営業に適するかは、法令上の制限の有無を含め、原則として借りる側が調査すべきとされています。
建物の使用開始に関する確認
松江市の案内では、店舗等の出店や入居の際は、使用を開始する日の7日前までに防火対象物使用開始届出書の届出が必要とされています。用途変更で自動火災報知設備が必要になる例や、店舗の修繕、模様替え、間仕切り変更で消防法令の適用が変わる場合があるため、事前に消防署へ相談するよう案内されています。 提出の期限や対象は自治体ごとに異なるため、物件の所在地の消防署で確認してください。
保健所の確認(サロン・クリニックの場合)
理容所は、あらかじめ管轄する保健所へ届出し、検査を受けて基準に適合していることの確認を受ける必要があります。前の店が同じ業態だったとしても、いすの台数や洗い場の位置が、新しい店の計画に合うかは別の問題です。
物件を契約する前に、管轄の行政窓口へ、図面を持って相談しておくと安心です。

引き継ぐもの・変えるものの判断
引き継ぐか、変えるかは、設備ごとに分けて考えます。
| 設備 | 引き継ぎやすい | 変えたほうがよい場合 |
| 床・壁 | 状態がよく、雰囲気が合う | 傷みが多い、世界観が合わない |
| 給排水 | 位置が計画に合う | 洗髪台や洗面の位置が合わない |
| 空調・換気 | 動作が安定している | 容量が足りない、騒音が大きい |
| 照明 | 配光が合う | 色温度や明るさが業態に合わない |
判断の軸は3つです。
- 動線:席や診察室の配置が、新しい店の運営に合っているか
- 設備の寿命:使えても、数年で交換が必要になりそうな機器が多くないか
- 世界観:前の店の印象が、新しい店のコンセプトを邪魔しないか
内装の見た目は塗装や什器の入替で変えやすい一方、給排水や空調の位置は変えにくい部分です。変えにくい部分が計画に合うかを先に見て、合うなら引き継ぎ、見た目は後から整える流れが、無理の少ない進め方です。

設計会社に相談する前の整理項目
相談の前に、次の内容を整理しておくと、見学や見積もりがスムーズです。
相談前のチェックリスト
- 業態と、必要な席数・部屋数
- 候補物件の図面と、現況の写真
- 契約書にある造作・設備の一覧(あれば)
- 開業したい時期と、予算の上限
- 行政窓口への相談の状況
- 好みの雰囲気の写真(3〜5枚)
見学は、設計会社と一緒に回るのがおすすめです。給排水、電気容量、空調、天井の高さなどを、図面と現物の両方で確認できます。
費用や会社選びについては、店舗内装費用の相場、店舗内装工事の流れ、店舗内装業者の選び方もあわせてご覧ください。
契約前に避けたい進め方
- 現地を見ずに、写真だけで契約する
- 造作の一覧を作らずに、口頭で譲渡を受ける
- 行政への相談を、契約後に回す
居抜きは、契約と現地確認が内装の質を左右します。設計の相談を契約前から始めると、判断の抜けを減らせます。
まとめ
居抜き物件の内装は、引渡し時の確認、造作譲渡と原状回復の契約、行政への事前確認、引き継ぐものと変えるものの判断という順序で進めます。
前の店の営業内容にとらわれず、自分の業態に合うかを、図面と現地、そして行政への事前相談で確かめることが、手戻りの少ない開業につながります。
よくある質問
Q.居抜き物件なら、前の店の設備はそのまま使えますか?
Q.退去するときの原状回復はどうなりますか?
Q.前の店と同じ業態なら、手続きは不要ですか?
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