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Magazine / Blogバーバーショップ・理容室の内装デザイン|席・照明・素材と保健所の基準の考え方
バーバーショップや理容室の内装は、美容室の内装をそのまま男性向けにしたものでは成り立ちません。顔そりを伴う施術、クラシックな世界観、通いやすい居心地。理容ならではの条件を、図面に落とす段階で整理しておくことが、開業後の使いやすさを左右します。
この記事では、理容所に求められる構造設備の基準を確認したうえで、席まわりのレイアウト、照明、素材、待合の考え方を順に整理します。
この記事でわかること

理容室と美容室で、内装の考え方が分かれるところ
理容と美容は、資格も施術の中身も別のものです。理容師法は、理容を「頭髪の刈込、顔そり等の方法により、容姿を整えること」と定めています。
内装の面で見ると、違いの中心は顔そりです。顔そりは、お客様が背もたれを倒して長く同じ姿勢で受ける施術になります。椅子まわりの余白、足元の動線、蒸しタオルや器具の置き場所など、席ひとつの作り方が、美容室とは変わってきます。
内装を考える3つの軸
- 施術の中身:カット中心か、顔そり・シェービングを看板にするか
- 客層と滞在時間:短時間で通う常連か、ゆっくり過ごす予約制か
- 世界観:クラシックなバーバー調か、明るく開かれた街の理容室か
理容と美容では、開設の基準そのものにも違いがあります。大分市の基準では、作業室の床面積は、理容所は理容イス2台以下で13㎡以上、3台以上は1台増すごとに4㎡を加え、美容所は美容イス4台以下で13㎡以上、5台以上は1台増すごとに3㎡を加える形です。 同じ席数でも、理容と美容では必要な面積の計算が異なります。
顔そりの衛生措置も、理容室の設計に関わります。皮ふに接する布片は客1人ごとに取りかえ、皮ふに接する器具は客1人ごとに消毒するとされ、理容所については、顔そり用石けんも客1人ごとに取り替えるとされています。 使う布片や器具の数が多くなるため、収納や洗浄の場所を、席の近くで余裕をもって計画します。
この3つが決まると、席数、洗髪台の数、待合の広さ、素材の方向性が自然に絞れていきます。逆に、ここが曖昧なまま写真集めから始めると、見た目はそろっても使いにくい店になりがちです。
開設前に確認したい、理容所の構造設備の基準
理容所は、あらかじめ施設所在地を管轄する保健所へ届出し、検査を受けて基準に適合していることの確認を受ける必要があります。 内装の設計は、この基準を満たす前提で進めます。
基準は自治体ごとに定められており、数値の定め方も同じではありません。 ここでは、公開されている千葉県と目黒区の案内から、設計に直結する項目を拾います。
| 項目 | 千葉県の案内 | 目黒区の案内 |
| 作業面の照度 | 100ルクス以上 | 100ルクス以上 |
| 面積 | いす1台で6.6㎡以上、1台増えるごとに3.3㎡を加える | 1作業室13㎡以上、3台まで、1台増えるごとに4.9㎡を加える |
| 洗い場 | 洗髪と洗顔ができる流水式の設備 | 洗髪用と器具洗い用を分ける |
照度は、どちらの案内でも作業面で100ルクス以上とされています。 面積は、千葉県ではいす1台の場合6.6㎡以上、1台増えるごとに3.3㎡を加える形です。 目黒区では、1作業室は13㎡以上で、理容椅子は3台まで、1台増えるごとに4.9㎡を加えます。
洗い場については、千葉県の案内では作業所内に洗髪と洗顔ができる流水式の設備を設けます。 目黒区の案内では、洗髪用と器具洗い用を分ける形です。
物件を決める前に、開設予定地を管轄する保健所へ、図面を持って事前に相談しておくと安心です。開設の際には、開設届のほか、構造及び設備の概要書や施設の平面図などを提出します。

席まわりのレイアウト:椅子・ミラー・洗髪台の動線
基準の面積はあくまで最低ラインです。実際の席は、施術する人が回り込める余白と、お客様が椅子から立ち上がる動きまで含めて考えます。
椅子とミラーの配置
壁沿いに椅子を一列に並べる配置は、動線が単純で、席数を確保しやすい形です。ミラーは連続させると、奥行きが出て空間が広く見えます。顔そりを行う席は、椅子を倒したときに頭側へ人が立てる余白を残します。
洗髪台の位置
洗髪台は、席から目に入りにくく、かつ移動距離が短い位置が理想です。
洗髪の方式には、お客様の後ろから洗うリアシャンプーと、横から洗うサイドシャンプーがあり、メーカーの製品一覧には前洗面のフロントシャンプーの区分もあります。 方式によって、ボウルと椅子の関係が変わります。
- リアシャンプー:メーカーの製品案内では、壁に取り付けないため配置の自由度が高いとされています。 製品の写真では、リクライニングする椅子の背もたれ側に白いボウルが直接つながり、椅子とボウルが共通の脚部に載った1台の機器になっています。 椅子の位置がそのままボウルの位置になるため、給排水の位置を先に決めます。
- サイドシャンプー:お客様の横から洗う方式で、力を入れやすく水圧も上げられるとされています。 壁付け設置タイプのボウルは、組み合わせるシャンプーチェアが別の製品として掲載されています。 この場合は、ボウルとチェアの間に隙間ができないように、頭がボウルに収まる位置を図面で確認します。
どの方式でも、頭を預ける位置にボウルがあることが前提です。ボウルから離れた位置に椅子を置く配置は成り立ちません。
席から洗髪台までの途中で、他のお客様の背後を通る配置は避けます。シャンプー後に席へ戻る動線と、待合から席へ入る動線が交差しない形にすると、混み合う時間帯も滞りません。
器具・タオルの置き場所
器具や布片は、洗浄前のものと洗浄・消毒済みのものを分けて扱います。 顔そりでは、布片や器具を客1人ごとに取りかえ、消毒する運用になるため、その量に見合う収納と洗浄の場所が要ります。 この区分を、棚や収納の計画に最初から組み込んでおきます。後から置き場所を探すと、動線の途中に物が溜まりがちです。

照明:基準は最低ライン、顔そりの手元は明るく
作業面の照度100ルクス以上は、開設の基準として押さえる最低ラインです。 実際の店づくりでは、この数値を満たすだけでなく、見え方を整えることが大切です。
- 顔そりやカットの手元は、影が出ないように、ミラーの両側や上から光を回す
- 待合は照度を少し落とし、席側との明暗の差で奥行きを出す
- 色温度は、肌が自然に見える暖かめの白を基本にする
バーバーらしい雰囲気を出したい場合も、全体を暗くするのではなく、席は明るく、周辺を落ち着かせる設計にすると、施術の精度と世界観を両立できます。ペンダント照明や壁付けのブラケットは、雰囲気づくりの役を担わせ、作業のための光は別の回路で確保しておきます。

床・壁・素材:毛髪とメンテナンスを前提に
理容室の床は、毛髪が毎日大量に落ちる場所です。自治体の案内では、床や腰板はコンクリート、タイル、板などの不浸透性材料を使い、清掃しやすい構造にするとされています。
素材選びでは、見た目と掃除のしやすさのバランスを取ります。
| 場所 | 選びやすい素材 | 考え方 |
| 床 | タイル、クッションフロア、塗り床 | 毛髪を掃き集めやすい。目地は浅めにする |
| 腰壁 | タイル、木調の化粧板 | 椅子や台車が当たる高さを守る |
| 壁上部 | 塗装、クロス | 光の反射を整え、柔らかい雰囲気を出す |
クラシックなバーバー調では、白と黒の市松模様の床や、緑や濃紺のタイルがよく使われます。ただし、色や柄を強く出すほど、毛髪の見えやすさや汚れの目立ち方も変わります。実際の掃除の頻度を想像しながら、サンプルを現地の光で確認してから決めます。
また、採光・照明・換気は十分に確保する必要があります。 換気は、薬剤を扱う場合に特に影響が出るため、空調の吹き出し位置と合わせて設計します。
待合・受付・世界観づくり
待合は、作業所と区画して設ける形が基本です。 目黒区の案内では、客待ち場所は作業室の約6分の1とされています。 広く取りすぎると席数を削ることになるため、予約制か、来店順かで、必要な広さを逆算します。
世界観を出す場所は、主に3つです。
1. ファサードと入口:外から見える看板と、ガラス越しの席の見え方
2. 受付まわり:会計台の素材、棚に並べる商品、バーバーポールなどのモチーフ
3. 待合の一角:雑誌棚、ベンチ、壁面のグラフィック
空間全体を作り込みすぎると、掃除や模様替えが重荷になります。素材とモチーフは絞り、1か所だけ強く見せる設計のほうが、長く使えます。

設計会社に相談する前に整理しておく項目
相談の前に、次の項目を整理しておくと、見積もりと設計の精度が上がります。
相談前のチェックリスト
- 施術メニュー(カット、顔そり、ヘッドスパなど)
- 席数と、将来増やす予定の有無
- 洗髪台の数と、顔そりに使う席の数
- 予約制か、来店順か
- 予算の上限と、開業の時期
- 好みの雰囲気の写真(3〜5枚)
物件が決まっている場合は、図面と現況の写真を準備します。物件が決まる前でも、希望の席数と面積の目安を伝えれば、物件選びの段階から相談できます。保健所の確認が必要な項目は、設計会社と一緒に洗い出すと抜けが少なくなります。
内装の費用感を知りたい方は、美容室の内装工事の費用や、店舗内装業者の選び方も参考にしてください。
開業までの進め方と、内装で後戻りしやすい場所
内装の進め方は、おおまかに次の順序です。
1. 施術メニューと客層を決める
2. 物件の候補を絞り、図面を持って保健所へ事前に相談する
3. 設計会社に相談し、レイアウトと概算見積もりを出してもらう
4. 設計を固め、施工に入る
5. 完成後に、保健所の検査を受ける
後戻りしやすいのは、次の3か所です。
- 洗髪台の位置:給排水の配管は、工事が始まってから動かすと手間が大きくなります。設計の段階で位置を決め切ります。
- 電源とコンセントの数:ドライヤー、バリカン、蒸しタオル器、音響機器など、理容室は機器が意外に多くなります。席ごとに必要な口数を、図面の上で数えておきます。
- 収納の量:タオルや布片は、使用済みと洗浄・消毒済みを分けて収めるため、思った以上に収納の容量が要ります。
これらは、見た目の議論に隠れて後回しになりやすい項目です。設計会社との打ち合わせでは、デザインの話と同じ時間をかけて確認しておきます。完成後の検査で指摘が出た場合、手直しは営業開始の遅れにつながります。
また、同じ理容室でも、駅前の路面店と住宅街の2階では、入口の見え方や待合の取り方が違います。立地の条件によって、看板や外観にかけるべき力の配分が変わるため、物件の見学は設計会社と一緒に回るのがおすすめです。
まとめ
バーバーショップ・理容室の内装は、顔そりを含む施術、保健所の確認が必要な構造設備、掃除のしやすい素材という3つを土台に考えます。そのうえで、席は明るく、待合は落ち着かせ、世界観は一点に絞ると、使いやすさと個性を両立できます。
自分の店の施術と客層に合わせて、何を優先するかを整理したうえで、設計会社へ相談してください。
よくある質問
Q.理容室の開設で、保健所には何を出しますか?
Q.理容室の面積に決まりはありますか?
Q.美容室の内装を理容室に転用できますか?
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