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カフェの内装は、壁の色や家具の選び方に目が向きがちですが、居心地と売上を左右するのは、厨房・客席・動線の配置です。見た目が整っていても、注文から提供までの流れが詰まると、お客様もスタッフも疲れてしまいます。

この記事では、カフェのレイアウトを、厨房まわりの考え方、客席とカウンターの配置、お客様とスタッフの動線、通路と席のバリアフリーの順に整理します。厨房まわりは、飲食店営業の施設基準で示されている項目を、図面を引く前の前提として確認します。

この記事でわかること

カフェのレイアウトを決める順番
厨房まわりで、図面の前に確認したい施設基準
客席とカウンターの配置の考え方
お客様とスタッフの動線の組み立て方
通路・出入口・席のバリアフリーの目安

カウンターと客席を備えたカフェの店内のイメージ

カフェのレイアウトは「厨房→動線→客席」の順に決める

レイアウトは、客席の見栄えから描き始めると行き詰まりやすくなります。先に厨房の位置と大きさを固め、次に動線を引き、余った面積で客席を組むほうが、あとから手戻りが出にくくなります。

決める順番は次のとおりです。

1. 入口と、水道・排水・換気の位置(物件側の制約)
2. 厨房とカウンターの位置
3. お客様の動線(入口から注文、席、返却、出口まで)
4. スタッフの動線(厨房から提供、片付けまで)
5. 客席の数と配置

先に決めておきたいこと

  • 提供の形(カウンター注文のセルフ式か、席まで運ぶフルサービスか)
  • メニューの範囲(ドリンク中心か、フードも調理するか)
  • テイクアウトの有無と、受け渡しの場所
  • 1日のピーク時間に、同時に何人が店内にいるか

メニューの範囲は、厨房の広さとシンクの数に直結します。フードを調理する店舗は、ドリンク中心の店舗よりも厨房に面積が必要です。物件を決める前に、ここを固めておきます。

厨房まわりは、施設基準を前提に配置する

カフェは飲食店営業として、保健所で施設の確認を受けて営業します。確認は施設の基準への適合で行われるため、厨房まわりのレイアウトは、基準を前提に組みます。基準は自治体ごとに定められ、細部は地域によって異なります。ここでは、北九州市と札幌市の案内で示されている項目を例にします。

図面の段階で相談する

北九州市の案内では、工事に着手する前に設計図面を持参して相談することとされ、基準に適合していない場合は完成後に手直しが必要になると示されています。 申請書類には、客席やトイレを含む営業設備の構造図面が含まれます。 内装工事に入る前に、図面で保健所へ相談します。

区画と配置

飲食店営業の施設基準では、施設は住居や客席などと間仕切り等により区画され、施設設備が適切に配置されていることが求められています。 オープンキッチンにしたい場合も、厨房と客席の区画をどう取るかを、事前相談で確認しておくと安心です。

手洗い・シンク・換気

  • 手洗い:従事者用の手洗いは、手指の再汚染が防止できる構造の流水式手洗い設備であることが求められています。 札幌市は、令和3年の制度改正でこの構造が義務付けられたとし、センサー式、ひじで操作するレバーハンドル、足踏み式などを例に挙げています。
  • シンク:使用目的に応じた大きさ及び数の洗浄設備が求められています。
  • 換気:結露やカビにより食品が汚染されないよう、換気が適切にできる設備等を有することが求められています。

床と壁

床、内壁及び天井は、清掃しやすい材料で作られ、容易に清掃できる構造であることが求められています。 床等を水で洗う場合は、床面は不浸透性の材質で排水が良好であること、内壁は床面から容易に汚染される高さまで不浸透性材料で腰張りされていることが求められます。 客席は木目や塗り壁で温かみを出しても、厨房側は清掃のしやすさを優先して素材を分けます。

厨房と客席を区画したカフェのカウンターのイメージ

客席とカウンターの配置の考え方

客席は、「何を目的に来る店か」で組み方が変わります。長居を前提にした店と、回転を重視する店では、席の種類も並べ方も違います。

席の種類を組み合わせる

  • カウンター席:1人のお客様が入りやすく、スタッフとの距離も近くなります。厨房の前に置くと、調理の様子が見える一方、音や匂いも届きます。
  • テーブル席(2人掛け):人数に合わせて並べ替えやすい形です。
  • ソファ席:滞在が長くなる席で、壁際に置くと落ち着きます。ただし面積あたりの席数は減ります。

見通しを分ける

入口から店内の全体が見えると、お店の雰囲気が伝わります。一方で、席が丸見えだと、1人のお客様が入りにくくなります。背の高い家具や、植栽、腰高の仕切りで、視線を少し切る工夫をします。

座る向きも大切です。入口に背を向ける席、壁に向かう席、窓に向かう席を混ぜると、同じ広さでも、居場所の選択肢が増えます。

窓際と奥の席の使い分け

窓際は明るく、通りからの見え方にも影響する席です。奥の席は落ち着きますが、スタッフの目が届きにくくなります。奥にも、厨房から様子がわかる視線の通り道を残しておきます。

席の種類を組み合わせたカフェの客席のイメージ

お客様とスタッフの動線を組み立てる

動線は、お客様の動きとスタッフの動きを、できるだけ交差させないことが基本です。

お客様の動線

セルフ式のカフェでは、次の流れになります。

1. 入口
2. メニューの確認・注文
3. 支払い
4. 受け取り
5. 席へ移動
6. 返却
7. 出口

注文の列と、受け取りを待つお客様が混ざらないよう、注文カウンターと受け渡しの場所を少し離します。ピーク時に、注文の列が入口の扉の前まで伸びない位置関係にします。

スタッフの動線

スタッフの動線は、厨房から受け渡し、客席の片付け、洗い場までが短くなるように組みます。洗い場は、返却口の近くに置くと、下げた食器を運ぶ距離が短くなります。

  • 返却口と洗い場を近づける
  • 冷蔵庫、シンク、コーヒーマシンを、スタッフが少ない歩数で行き来できる配置にする
  • お客様の通る通路と、スタッフが食器を運ぶ通路を重ねない

動線は、図面の上で、人の動きを矢印で描き、交差する場所を確認します。交差する場所には、カウンターの角を丸めたり、通路に余白を持たせたりして対処します。

注文カウンターと返却口を分けたカフェのイメージ

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通路・出入口・席のバリアフリーの目安

カフェは、ベビーカーや車椅子、杖を使うお客様も訪れる場所です。通路の幅と席のサイズを、最初から余裕を持って取っておくと、あとからの改修を避けられます。

出入口と通路の幅

国土交通省の建築設計標準の改正概要(令和3年3月)では、小規模店舗の出入口は段差を設けず有効幅員80cm以上、通路は有効幅員90cm以上とする旨が示されています。 建築設計標準は、バリアフリー設計のガイドラインとして定められたものです。 最低限の決まりとは別に、設計の目安として参照します。

テーブルを詰めて席数を増やしたくなる場面でも、通路の幅は、このような目安から逆算して確保します。

車椅子で使える席

同じ資料では、飲食店は車椅子のまま食事ができるよう、原則として可動式の椅子席を設けるとされています。 固定席を設ける場合は、可動式の椅子席を併せて設け、客席総数の2分の1以上を可動席とすることが望ましいとされています。

ソファ席や造り付けのベンチは、居心地のよい反面、固定席になりやすい席です。ソファ席と、動かせる椅子の席を混ぜて配置すると、居心地と使いやすさを両立できます。

入口まわりの余白

入口の扉は、外開きか内開きか、引き戸かで、店内側に必要な余白が変わります。ベビーカーを押したまま入れるか、入口の前に段差がないか、扉を開けた先にすぐ席が並んでいないかも、図面の段階で確かめます。入口の近くに荷物を置く台や、傘を置く場所を設けておくと、通路に荷物があふれにくくなります。

通路に余裕のあるカフェの客席のイメージ

水まわり・トイレ・バックヤードのレイアウト

お客様の目に触れにくい水まわりとバックヤードも、レイアウトの重要な要素です。

トイレの位置

トイレは、従事者の数に応じて設置し、専用の流水式手洗い設備を有することが求められています。 客席から入りやすく、一方で席から直接見えない位置に置きます。厨房の動線とは交差しない場所が向いています。

バックヤードの確保

  • 食材と備品の置き場
  • 従業員の荷物を置く場所
  • ごみの一時置き場と、搬出の経路
  • 搬入の経路(扉の幅や、台車が通るか)

搬入と搬出の経路は、お客様の動線と重ならないようにします。重ならない経路が取れない物件では、搬入の時間帯を営業時間外にするなど、運営で調整できるかを検討します。

水道と排水の位置は、物件によって移設の費用が大きく変わります。厨房やトイレの位置を決める際に、既存の配管の位置を確認します。

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設計会社に相談する前の整理項目

相談の前に、次の内容を整理しておくと、打ち合わせが進めやすくなります。

相談前のチェックリスト

  • 提供の形(セルフ式かフルサービスか)とメニューの範囲
  • 席数の目標と、1人客・グループ客の割合
  • テイクアウトの有無
  • スタッフの人数と、ピーク時の配置
  • 物件の候補と図面(決まっていなければ、希望の広さと立地)
  • 好みの雰囲気の写真(3〜5枚)

図面は、厨房・客席・水まわりの位置がわかるものを用意します。物件が未決定の場合も、上のチェックリストの内容を伝えれば、物件選びの段階から相談できます。

保健所へは、工事に着手する前に図面で相談します。 設計会社と同席して相談すれば、指摘をその場で図面に反映できます。

スタイルや費用は、小さなカフェの内装をおしゃれにするためのポイント、カフェ内装の始め方ガイド、カフェ内装工事の費用の考え方もあわせてご覧ください。

まとめ

カフェのレイアウトは、厨房、動線、客席の順に決めると、あとからの手戻りが少なくなります。

厨房まわりは、施設基準を前提にして図面で保健所へ相談し、客席は席の種類と見通しの分け方を組み合わせます。通路の幅と席のサイズに余裕を持たせると、さまざまなお客様が過ごしやすく、スタッフも動きやすいカフェになります。

よくある質問

Q.カフェのレイアウトは、何から決めればよいですか?
A.厨房の位置と大きさを先に決め、その次に動線、最後に客席を組む順番が進めやすい方法です。メニューの範囲が厨房の広さに直結するため、物件を決める前に整理します。
Q.カフェの厨房は、客席とどのように区画しますか?
A.飲食店営業の施設基準では、住居や客席などとの区画が求められています。 オープンキッチンの場合も、事前相談で区画の取り方を確認します。
Q.カフェの通路幅の目安はありますか?
A.国土交通省の建築設計標準の改正概要では、小規模店舗の通路は有効幅員90cm以上とする旨が示されています。 設計の目安として参照してください。

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