店舗をもつ以上、内装工事は必要不可欠ですよね。
なるべく初期費用は抑えたいものの、ブランドの顔となる店舗の内装はきちんと作りたいものです。
今回は、美容室の内装工事費用の相場を解説します。
相場をおさえた上で予算どりを行うこと、また、高すぎる安すぎるといった業者の見分けが出来ることを目的とします。
内装の流れは美容室内装完全ガイドよりご覧ください。
参照:【美容室の内装完全ガイド】内装の流れからデザイン事例まで解説
目次
美容室の内装工事の費用の相場はいくら?3つのポイントで解説
はじめに、内装費用には、主にデザイン設計費・施工費があります。
内装業者にはデザインや設計のみを担当する会社、施工のみを担当する会社、その両方をトータルで行う会社などがあります。
設計と施工を別会社で行なう場合、デザイン会社が窓口を請け負ってくれることもありますが、基本的にはそれぞれの分野に分かれるため、支払いややりとりが複数窓口になる場合があります。見積についても、デザイン費・施工費のそれぞれで交渉という形になります。
設計・施工をトータルで行なっている会社だと窓口がひとつになり、やりとりはスムーズになるでしょう。また、見積はデザイン費と施工費あわせての金額交渉となるので、デザイン変更や金額交渉に関する労力は軽くなるでしょう。
美容室の内装の費用は基本的には坪単価×広さで予測可能です。
だいたい坪単価20万円から40万円が相場ですが、近年の材料や職人手配の単価高騰により、しっかりと満足のいく内装を作るのであれば40万円から60万円くらいで考えておいたほうがトラブルが少なそうです。ただし様々な要素で価格は変わってくるのでその考察も必要です。
美容室の内装工事の費用相場は、以下の3つのポイントで考えていきます。
①広さ・坪
②物件の種類
③工事内容
順番に解説していきます。
①美容室の内装工事の費用は広さによって決まる|坪単価
先述の通り、内装工事費用は基本的には以下の坪単価で予測できます。
・平均20万円〜40万円/坪
・しっかり作りたい時40万円〜60万円/坪
例えばある程度デザインや設備を整えて、25坪の美容室を作ろうとした場合、単純計算で1000万〜1500万円の費用が必要になります。
この金額にはシャンプー台やセット椅子、ボイラー、場合によってはワゴンやセット台などの備品が含まれないことに注意しましょう。基本的にディーラーから購入する物に関しては内装費用に含まれないことがほとんどです。
そして注意したいのは、坪数が10坪前後の場合、坪単価が割高になるということです。
職人の手配人数、設備の容量など、同じ値でよい場合は、坪数が少ないより多いほうが単価が安くなるからです。
〜14坪の店舗では坪単価が割高になることは覚えておきましょう。
②費用は物件の種類でも異なる
物件の種類は下記にわけられます。
・居抜き・新築・改築
それぞれ詳しく解説していきます。
居抜きとは
前に入居していたテナントの内装をそのまま引き継ぐことです。
美容室だった物件の居抜きを利用することは、内装費用を抑えるのに大きく役立ちます。
ほぼそのまま使うことも可能で、あるいはシャンプー台や空調機器を変える場合も最低限の補修で済みます。
ただし間取りに縛られるので、大きく変更したい箇所がある場合はそれなりに費用がかかってきます。
新築とは
ビル自体が新築の状態、もしくはテナントの退居後に原状回復されている状態などありますが、基本的にはビルの躯体しかない空間に、いちから内装工事をすることをさします。
新規出店の際に一般的なのがこのパターンです。
水や空調の配管場所によってどのような間取りにするか考えて行きますが、配管距離が長くなったり外壁を通さなければいけなかったりすると費用が増えます。
ビル自体が新築の場合、ビル建設中に内装工事の内容が決まっていると、稀に建物側でプランに適した位置まで配管を持ってきてくれることもあります。
そうすると設備関係の費用負担は軽くなります。また、ビル自体が綺麗だと補修箇所が減るので、施工費が安くなることもあります。
改築とは
スケルトン状態(床壁天井などなにもない状態)ではない物件を一度解体して内部を作り変えることをさします。自店の改装工事などもそうですが、解体作業が入るのでその分の費用が追加になります。
また、古い建物などでは解体してみて問題が見つかるという事もあるので、業者に内装見積をしていても、見積金額が変わる可能性があることを覚えておきましょう。
部分改築の場合は新築より安く抑えられる場合もありますが、フル改装の場合は最も費用が高くなります。
また、上記の全ての物件に共通して、建物がおかれている環境についても注意が必要です。
例えば集合住宅内や大型商業施設の中では、工事出来る時間帯が決められている事があるので、工期が伸びたり夜間工事が必要な場合もあります。そうすると通常より工賃があがります。また、搬入がしづらい場所では、その分搬入費があがるでしょう。そういった外的要因は見落としがちですが、施工費があがる原因になり得るということを覚えておきましょう。
③ 美容室の内装工事の費用は工事内容によって決まる|設備工事・内装工事
内装工事にかかる費用は、当然目に見えるデザインの部分だけではありません。
まず設備容量が美容室を作る必要量を満たしているかをしっかり確認しましょう。設備容量とは、ガス・水道・電気をさします。この容量が足りないと、初期費用もしくはランニングコストで余分な費用が発生します。
また、建物自体が汚かったり使いづらい場合は、目に見える部分を仕上げる前に土台を補修する必要があるので、その分の費用がかかってきます。工事予算の3分の1以上はこういった設備費用や土台作りなので、そこを必要最低限におさえるように、物件選びの時から業者に見せておいたほうが無難でしょう。
次に目に見えるデザイン部分ですが、こちらも仕上げ材料によって金額が変動します。
例えば床は磁器タイルよりも塩ビタイルにするほうが工期も短くなり金額が安いです。新たに立てる壁を塗装するよりも、躯体に直接塗装するほうが安くなります。いずれの素材もメリットデメリットがあるので、内装業者とよく打ち合わせた上で決めていくのがいいでしょう。
最後に、内見時に建物の外観も確認するようにしましょう。せっかく内装をおしゃれにしても、外装が好ましくない場合は、管理会社に確認して外装工事も行う必要があります。その程度によって外装工事費が追加されます。
美容院の内装工事費用を安く抑えるための3つのポイント
内装工事費用を安く抑えたい場合に考慮すべき点は3つあります。
①内見時に現場調査をしておく
②素材や造作物についてしっかり打ち合わせる
③打ち合わせから工事完了までの時間に余裕をもつ
順番に説明します。
①内見時に現場調査をしておく
先述の通り、美容室を作るには必要な設備容量があります。容量が足りない場合はそれを追加するための工事が必要になりますが、ものによっては何百万単位の金額が発生する場合もあります。
また、配管場所によって効率のよい間取りというものがあります。なるべく床をあげる面積を減らす、配管材料を減らすなどの考慮が出来るように、事前に配管状況を知っておく事は大事です。
そして物件が綺麗で施工しやすいほど無駄な費用がなくなります。ここでいう「綺麗」とは、「床が水平で壁が垂直である」とか、「アスベストなど害のあるものがない」といった意味です。床がでこぼこな場合、一度コンクリートをならさなければいけないし、アスベストがあると撤去費が必要になります。
こういった事を事前に調査しておく事で、無駄な費用を省く事が出来るので、なるべく物件契約前に業者を連れて内見しましょう。現場調査までなら無料の業者が多いです。
②素材や造作物についてしっかり打ち合わせる
表面に見える素材をコントロールする事で、費用を下げる事は可能です。例えば先述の通り、床に磁器タイルを貼るのではなく、塩ビタイルを貼るといった具合です。しかしこの場合、磁器タイルは基本的にメンテナンスフリーなのに対し、塩ビタイルは定期的なワックスかけが必要など、初期費用とランニングコストのバランスは見極めが必要です。
家具についてはオリジナル品を作れば作るほど費用が高くなるので、既製品を使うことで費用が抑えられます。例えばセット台やシャンプー棚なども内装費用の見積に含まれている場合、各種メーカーから出ている既製品を使うと安くなることがほとんどです。
メリットデメリットも含め、しっかり打ち合わせしながら無駄を省いていく作業をしていきましょう。
③打ち合わせから工事完了までの時間に余裕をもつ
お店が出来上がるまで、内装業者と決めていく項目はたくさんあります。1度の打ち合わせで全てが決まるということはなく、段階を追って決めていかなければいけません。急ぎのスケジュールで焦りながら決めていくのと、しっかり熟考しながら決めていくのとでは、クオリティが違うのは明白です。無駄な費用を抑え最適な案をすり合わせる期間をしっかりとるほうが、業者から出てくる物もより質の高いものになるでしょう。
また、工事期間が短いと工賃が割高になる可能性があるので注意です。打ち合わせや工事期間になるべく余裕をもつようにしましょう。
予算に合うように費用からデザインまで考えてくれる業者選びが大切
今回は美容室の内装工事における費用の相場を解説しました。
しかし、相場はあくまで目安です。
思っているよりも、美容室の店舗の状況や物件によって費用が変わってきます。
そこでまずは、プロの業者から依頼内容の相談や見積もりを取ることがおすすめです。
内装業者の選び方のポイントについては、下記記事を参照してください。
内装工事費用の見積もりを依頼する際の注意点
内装工事をする際、工事費用の見積もりはなるべく早く知りたいですよね。
特に、融資を受ける場合は、物件の契約、融資の申請、着工などのスケジュールを考えると、かなりスピーディに見積もりを提出してもらう必要があります。
ただ、注意したいのが、物件が決まっていない段階で内装業者に見積もり依頼しても、正確な数字は出てこないという事です。
なぜなら、同じ「セット台4面、シャンプー2台」という条件だったとしても、入る物件によって全く違う金額になる場合があるからです。
例えば、テナントの入り口がほぼシャッターのみしか備え付けられていない物件に入居すると、エントランス付近や外観に関わる部分はほとんどオリジナルで作らなければいけなくなる為、費用は大幅に高くなります。
また、同じ「セット台4面、シャンプー2台」の条件であっても、テナントの形や広さによって、建てなければいけない壁の多さが変わります。
基本的に全く同じ条件の物件というのはない前提で言うと、このように、広さ・セット面やシャンプー台の数だけでは、なかなか概算見積もりも出せないという事を認識しておきましょう。
なので、基本的に内装工事の概算見積もりが出せるのは、物件の図面や情報がある段階からという事になります。
また、あまりにも予算を相場ぎりぎりに設定するのは危険という事も覚えておきましょう。
消費税率、物価の上昇など、世間の状況により、想定外の金額がかかる場合もあります。
計画している段階から、実際に支払いが発生する間までに期間がある場合は、そういった時事的なところも配慮して、少し多めの予算をとれるように考えておくのも手です。
理想のお店を作る為に、情報を集めながら適切なタイミングで動けるようにしましょう。
開業に関しての情報はこちらに記載していますので、気になる方はご覧ください。
内装に関する相談も随時受け付けておりますので、気になる方はお問い合わせフォームまたは公式LINEよりご連絡ください。