【理美容ニュース】働きやすさと顧客設定が これからのサロンを決める
【2026年8月28日の美容ニュース】
美容室の利用率・単価・施術時間、都道府県で大きな差
ホットペッパービューティーアカデミー(リクルート)が、全国の15〜49歳の女性1万3,200人を対象に美容サロンの利用実態を調査し、都道府県別に集計しました。
美容室の利用率が最も高かったのは三重県の84.5%、1回あたりの平均利用金額が最も高かったのは石川県の9,477円、平均利用時間が最も長かったのは沖縄県の105分(全国平均は93分)でした。
石川県は店販購入率が42.0%で全国2位、カラー利用率が59.1%で全国2位と、単価を構成する要素がいずれも上位に入っています。同アカデミーの田中公子研究員は、石川県の女性有業率54.9%・共働き世帯56.0%(いずれも全国4位)という背景から、1回の来店の価値を高めて自宅でケアを続けるスタイルが浸透しているのではないかと分析しています。
(出典:理美容ニュース)
注目したいのは、単価1位の石川県が「値上げ」で1位になったわけではないという点です。カラーの利用率が高く、店販が売れている。その積み上げが9,477円という数字になっています。
自店の客単価を全国平均と比べるより、自分の商圏で「何のメニューが選ばれ、店販がどれだけ持ち帰られているか」を分解したほうが、次に手を打つ場所が見えやすくなります。
地域によって当たり前が違う、というのがこの調査の一番の示唆だと感じます。車移動が多いのか、共働き世帯が多いのか、服装がカジュアルな土地なのか。その前提条件から逆算してメニューを設計するほうが、他店のやり方をそのまま持ち込むより確度が高いはずです。
ファミマが髪色自由を明文化 「いちばん働きたいコンビニ」へ
ファミリーマートは2026年9月1日より、新しい身だしなみ基準「ファミマコーデ」を全国約1万6500店に導入します。従来のブルゾンから業界初のTシャツタイプへ変更し、ユニフォームの刷新は10年ぶりとなります。
あわせて、髪色の自由や、イスラム教徒の女性が頭を覆うヒジャブなどの着用を認めることを明文化します。創立45周年のキーメッセージ「いちばんチャレンジ」のもと、「いちばん働きたい」を目指す取り組みの一環で、スタッフの特性をお客さまに伝える「お知らせバッジ」の導入や求人サイトのリニューアルも実施されます。
(出典:Beautopia)
美容室にとっては二つの意味があります。ひとつは、髪色の自由が他業種にも広がることで「髪色が自由だから美容室で働きたい」という採用上の強みが相対的に弱まること。もうひとつは、働く場所での髪色制限がゆるむほど、カラーの需要そのものは広がるということです。
ただ、この取り組みで一番参考になるのは髪色そのものではなく、基準を「明文化した」という部分だと思います。
美容室では、身だしなみ、シフトの決め方、休憩の取り方といったルールが暗黙の了解のまま運用されていることが少なくありません。明文化されていないルールは、求人票にも面接でも伝えられません。書けるルールを持っている店が、これからの採用では選ばれていくのではないでしょうか。
ミルボン×花王『職場のロリエ』導入サロンが100軒を突破
ミルボンと花王が2026年1月に始動した「美容師応援プロジェクト」で、生理用品を職場の備品として設置する『職場のロリエ』の導入美容室数が、2026年7月末時点で100軒を突破しました。
ミルボンの調査(2025年、全国の美容師289名)では、女性美容師の約9割が生理に関する悩みを抱えていると回答し、「忙しくて生理用品を交換する暇がない」「職場の人に体調不良を伝えられなかった」といった声が寄せられていました。
導入したサロンオーナーからは「単なる福利厚生の導入という意味に留まらず、その根底には『あなたと一緒に長く働きたいから。』という想いがある」「その目的をスタッフと共有することや、相手をきちんと理解しようとする姿勢を示すことが大切」というコメントが出ています。
(出典:ミルボン ニュース)
美容室は立ち仕事が続き、休憩のタイミングが予約状況に左右されます。体調が悪くても言い出せないまま1日を終えてしまう構造が、そもそもあります。
この取り組みの本質は、生理用品を置くこと自体ではなく「言い出しにくいことを、言わなくても済む形に変えた」という設計にあると考えています。
同じ発想でできることは他にもあります。体調不良時の交代をどう決めておくか、休憩を確実に取るために予約枠をどう組むか、産休後の復帰の条件を先に文書にしておくか。どれも、本人が申し出る前に仕組みで受け止める形にできます。
導入100軒という数字は、全国の美容室から見ればまだ一部です。効果が離職率として示されたわけでもありません。それでも、コストが小さく今日から真似できる施策として見る価値はあると思います。
コンセプトより先に決めるべきは「理想の顧客」
サロン経営の成果を阻む本当の課題は、コンセプト不足ではなく「明確なターゲット顧客」の不在である──美容経済新聞が、フランスの美容専門誌の知見をもとにそう指摘しています。
記事によれば、理想の顧客を定義することは、名前・年齢・職業・趣味を並べた架空のプロフィールを作ることではありません。「対価を支払ってでも今すぐ解決したい、切実な悩み」を特定する作業だとしています。
正しい順序は、顧客の悩みを先に特定し、その解決策としてサービスとポジショニングを定義すること。しかし多くの人はこれを逆にやってしまい、オリジナルだが必要とされない商品を生むか、ポジショニングは完璧でも市場と合っていない、という結果を招くと指摘されています。
「ターゲットを絞ると客が減る」という不安については、絞るのは客層ではなくコミュニケーションの軸であり、45歳の女性を最優先に決めても30歳の女性が来なくなるわけではない、と説明されています。
(出典:美容経済新聞)
開業準備では、店名・内装・世界観といった「形にしやすいもの」から決まっていきがちです。誰のどんな悩みを解決する店なのかは、意外と最後まで言語化されないまま開店日を迎えることがあります。
この記事の使いどころは、開業前だけではありません。すでに営業している店なら、既存のお客さまが「一番お金を払ってくださっているメニュー」から逆算すると、自店が実際に解決している悩みが見えてきます。
掲げているコンセプトと、実際に選ばれている理由がずれている。そういうことは、珍しくありません。
サロンベスコス2026 ヘアカラー1位はアディクシー、グレイカラー1位はイノア
WWDBEAUTYの年1回の恒例企画「ヘアサロン版ベストコスメ 2026」が、全18部門で発表されました。
ヘアカラー部門の1位はミルボン「オルディーブ アディクシー」。寒色系の発色と透明感が支持されました。グレイカラー部門の1位は「イノア」で、白髪を“隠す”ものから“楽しむ”ものへという意識の変化が背景にあるとされています。
(出典:WWDJAPAN ビューティ(ヘアカラー部門)、同(グレイカラー部門))
このランキングは美容師の投票によるもので、販売本数や市場シェアを示したものではありません。つまり「売れている薬剤」ではなく「現場で提案が通っている薬剤」のランキングとして読むのが適切です。
1位の薬剤を導入するかどうかより、なぜ1位なのかを見たいところです。寒色・透明感が支持されているのも、白髪を明るく楽しみたいという需要が伸びているのも、どちらもお客さま側の価値観の変化がメニューに現れた結果です。
特にグレイカラーの「隠す」から「楽しむ」への変化は、薬剤を変えなくても今日から反映できます。メニュー名、カウンセリングでの一言目、SNSでの見せ方。白髪を隠すための施術として案内しているのか、楽しむための選択肢として案内しているのかで、受け取られ方は変わります。
みなさんのサロンではどうされていますか?